社長の条件
最終更新: 2020年6月27日
≪タイトル≫
社長の条件

≪著者≫
中西宏明
冨山和彦
≪問い≫
これからの時代に求められる経営者の素質は何か
≪概要≫
経済や社会基盤が大きく変化する時代において、新しい経営、経営者としての素質が求められている。
1. 経営環境の変化
企業トップの判断が、まさにカギになる。経営判断そのものが、会社の方向性を大きく左右する。そういう時代になった。かつてはモノづくりで横並び、同じような業態の大きな会社がいくつもあって、それが競い合ってた。いいモノを作ったから、いいモノが売れるという時代ではない。何を強みにして、どういう市場を攻めていくか。これは取捨選択などというものではなく、どうやったらサバイブできるか、という判断なんです。それをやっていくことができる人がリーダーをしていないと、やはりおかしくなってしまいます。
2. オペレーションプロフェッショナルの限界
工場だけで人を育てる、ということが限界に達したんだと思います。オペレーションだけは十分にトレーニングできるし、技術情報のサーベイだったりもあって、マーケットはある程度わかるんです。でも工場を中心にモノを考えている限りオペレーションプロフェッショナルはできるけど、そこまでです。例えば経営の方向性を変えないといけない、ということに対する感度、感受性、センス以前に、そういうことをするための勇気を養う場が無いんです。これは経営者が特別優秀で、それ以外とは違うんだ、などど、といういうことを言うつもりは全くないんです。一つのプロフェッショナルとして、経営の全体感が持てるか、ということが問われている。
いきなり全体感があって、その中でどう市場を考えていて、自分たちはどれだけ戦えるか、ということが語れる。事業戦略の多様性というのは、これでもう決まってしまう。逆に言うと「今これを一生懸命やっています」ということしか言わない人と言うのはダメなんですよ。実行、オペレーションはできるけど、マネジメントはできない。
3. リーダーとしての大切な素質
どれだけ自分でネットワークを広げられるか、で決まってくると思っています。まったく違った観点の話をどれだけ聞いてきたか。そこで多分差が出る。生まれつき、リーダーに向いていない人もいますけど、やっぱり後からそういう機会を自分で作れるか。また与えられた機会をうまく活かせるか、という両方だと思います。
ある意思決定をしたとき、その結果として起きてほしくないような反響が起きる。大胆な意思決定というのは、会社の構成員全員がハッピーにはならないわけです。多くの場合、光と陰が生まれてしまう。その光と陰が生まれるということに対して、ものすごくストレスを感じるリーダーがいるんです。それを避けたくてしょうがないタイプの人。でも私からすれば、やっていないから、すでに大変なことになっているわけです。しかも、このまま放置していたら、もっと大変なことになりかねない。ばっさりやってしまうと、もちろん短期的に厳しい批判は受けますが、やがて事業が立ち直ってくるとそんな批判は雲散霧消する。自分の意思決定の結果に対する反響のようなものを全て引き受ける覚悟がない状態の人が経営者やリーダーになっていたり、あるいはそういうことに向いていない人が偉くなっていってしまったりすると、会社には悲劇だと思います。
自分で決断できるリーダーでないといけない。決断できるかどうかには向き不向きがあるかもしれないけど、自分が決断しないとどういうことになるか、という認識が何よりやっぱり持てないといけない。手を付けられない聖域を作ってはいけない。
うまくいくこと、いかないこと、両方楽しめないと。テニスでもフェデラーだって負ける。そこにやりがいとか生きがいとかワクワクを見出せない人にとっては辛いでしょうね。そういうことを嫌だなと思う人は辞めた方が良い。そういう人が社長になったら何もしない人になります。負けない一番の方法は、一切試合に出ないことですから。だから、引き分け、引き分け、先送り、先送り、というのが、私の見た中では一番ダメになる典型的なタイプでしたから。
リーダーというのは、チャレンジの連続なんだ、大変なことが次々に起こるんだ、と。そういう時に、「お手並み拝見」と思われるのか、「ざまぁみろ」と思われるのか、それとも「応援してやろう」と思われるのか、その違いは決定的に大きい。そういう人間力のようなものがリーダーには必須の要件なんだ。
≪こんな人におすすめ≫
・経営者
・リーダー
・現場で働いている方
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≪併せて読みたい書籍≫
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