日本企業のコーポレートファイナンス



≪著者≫

砂川 伸幸

杉浦 秀徳

川北 英隆

≪問い≫

コーポレートファイナンスとはどのようなものか

≪概要≫

価値を生み出すのは事業であり企業である。株主市場ではない。

1. 資本コスト

資本コスト(割引率)は投資家と経営者を結ぶキーワードである。企業経営において大切なことは資本コストを正しく推定し、経営に活かすことである。企業活動のリスクとリターンは、企業がどのような資産を保有し、どのような事業を営むかで決まる。企業活動のリスクとリターンの源泉は資産サイドにあり、資本と負債は主にリスク負担とリターン配分を決めている。このビジネスリスクを投資家(株主・銀行)が負担する見返りとして企業にリターンを要求する期待値が資本コストである。

2. 負債

負債比率を高めると株主のリスクが大きくなる。負債の無い企業は純粋なビジネスリスクが株主の期待するリスクプレミアムに対応する。しかし負債がある場合、ビジネスリスクとは別に財務戦略がもたらすファイナンシャルリスクも株主は負担しなくてはならない。株主が受け取れるのは、収益から債権者への支払いを済ませた残りになるためだ。

一方で、負債の利用は支払利息によって法人税を少なくするため、投資家全体にとってのリターン(企業価値)を高める。これを節税効果と呼ぶ。とはいえ実際には節税効果にそれほど関心を示さない企業が少なくない。節税効果を目的とした負債活用は企業の成果の配分を変えるだけで社会的な価値を生み出さない。納税を社会的責任と考えている企業は、節税のために負債を活用することをよしとしない。

3. エクイティファイナンス

外部株主からの資金調達とはすなわち、所有と経営の分離と言える。株主の外部保有率が上昇すると株主と経営者の利害関心が難しくなり、経営者のインセンティブを低下させるという議論がある。

経営陣が市場から株式を買い入れ大株主になり、株式を非公開化するMBOはこの問題を解決する一つの方法である。自らの経営努力が給与と株式価値に反映される。リスク分散という考え方には反しているが、企業へのコミットメントが生み出すパワーがそれを上回るという判断であろう。相当な覚悟である。

≪こんな人におすすめ≫

・経営者

・若手のビジネスパーソン

≪併せて読みたい書籍≫

・バリュエーションの教科書


0回の閲覧

©2019 by 広島県呉市初のコワーキングスペース~ブシツ~。Wix.com で作成されました。