後継者の仕事 進化の時代に必要な「経営のあり方と戦略」

≪著者≫
次世代の事業継承研究会赤岩 茂
藤井 正隆
≪問い≫
後継者は何をすべきか
≪概要≫
近年の企業の休廃業の最大の要因は、本書のテーマであります事業承継問題、とりわけ「後継者問題」です。様々な理由があるのせよ、先代経営者や後継経営者のいずれかに問題があるのです。企業経営の原理・原則・あり方に関する誤解・錯覚・甘えと、それへの命がけの努力と対策不足が、近年の休廃業の多発の主因と言っても過言ではありません。
1. 判断基準を持つ
後継者も経営者の一人として、一番大事なことは間違った方向に進まないことです。それを実現するためには、目先の判断だけでなく、歴史的な観点から判断できるよう、教養が重要になってきます。
人間には三通りのタイプがあると思います。
1)話を聞いたり本を読んだりしてパッと悟るタイプ
2)色んな経験を通じて「あのことか」と気づくタイプ
3)死んでも分からないタイプ
1や2のタイプである限り、若いうちから本物の判断基準に慣れ親しんだ方が、後になって苦労しないと思うのです。先代、先々代の判断基準を、事例を交えながら聞いてみることです。
2. 変えること、変えないこと
後継者がよく間違えるのは、「自分は先代と違う」と考えて自分が勝てる場所を求めることです。そして近代化していくことが自分の役割だと錯覚してしまいます。何十年も続いている会社には、何かしら良い点があるわけです。それを理解する前に、全否定して、何もかも変えようとすると対立が起き、失敗します。経営理念や先代経営者が自分の身をもって経験した原理原則などは、基本的に急速に変えるべきではないのです。
一方で、時代の変化に従ってビジネスモデル(商品やマーケティング、販売チャネル等)や組織形態、リーダーシップ、人材育成、キャリアなどは変えていかなくてはなりません。今ある市場の中で売上を最大化するのが先代経営者の役目でしたが、後継者はこれから新しい市場を創り出すことが主な仕事になります。
3. 大企業と中小企業の差を認識する
大企業と中小企業の違いを規模や資金力という認識は間違いだ。両者は生きる世界、生存領域が決定的に異なる生物と認識しなければならない。すなわち中小企業において、
1)価格競争
2)品揃え競争
3)社内競争
はやってはならない。「良いモノを安く」という大量生産型のモデルではなく「良いモノを高く」売り、ブランドを形成していく考え方が必要です。
≪こんな人におすすめ≫
・事業承継者
≪併せて読みたい書籍≫
・アトツギが日本を救う
・あの同族企業はなぜすごい
・ファミリービジネス