幸之助論―「経営の神様」松下幸之助の物語





















≪著者≫

ジョン P.コッター

≪問い≫

松下幸之助のリーダーシップとはどのようなものか

≪概要≫

偉大なリーダーは“自分なりの持論”を仕事上の経験を源泉として確立している。人は誰でも多かれ少なかれ人生や節目で希望と危機感が背中合わせとなり、それを乗り越えた際に大きく脱皮して成長する。個人の生涯そのものが時代という大きな社会経済環境の中に織り込まれ、何歳ごろにどのような社会経済環境でどのような出来事を経験するかは、世代によって決定的に違ってくる。

しかし幸之助の時代とは違うから役に立たないということはない。幸之助は今自分が生きている時代の中に成長そのものがどう埋め込まれているかを読みとる知性を磨き続けたからこそ、結果において偉人となった。

1. 野心/信念の醸成

1)幼少期の一連の悲劇がもたらした苦難・逆光

2)企業家としての目標と信念の進化

3)成長を推し進める実際の行動

4)個人/指導者としての生涯にわたる成長過程

彼の成長を促進させた行動の数々は単純だが、やはり力強いものだった。自分自身と他人の人々を安楽な習慣的業務から追い立て、リスクを取り、率直に成功と失敗を反省して、他人の意見に耳を傾け、素直な心で人生を見つめ、衆知から何かを引き出そうとした。幸之助のこういう修正を促進した要素のうち、その野心と信念ほど重要なものはないように見える。

若き日の楽観主義は抑鬱に対する防御手段だったかもしれない。彼が成長するにつれて、理想主義的哲学もまた試練を受け洗練されるたびに深化し、個性を備えていった。こうして形成された哲学は、今度はリスクへの挑戦、寛容さ、傾聴、謙虚さなどが、すべて理に適った行動だと言っている。幸之助が抱いた野心と信念は、自分自身と、彼が遭遇したさまざまなチャンスと、そして何よりも一連の悲劇によって形成され、鍛えられていった。

2. カリスマ的リーダーシップ

事業の将来を決定してきた要因として、幸之助が実に賢明に自分の信念を制度化し、常に情勢の変化に組織を適合させてきたことと関係している。幸之助は「松下電器の尊奉すべき精神」として自らの経営理念を明文化した。

1)産業報国の精神

└高品質適正価格の商品で社会全体の富と幸福に寄与する

2)公明正大の精神

└公正と誠実を旨とし、公平な判断を心がけること

3)和親一致の精神

└共通の目的を実現するための能力と決断力を涵養すること

4)力闘向上の精神

└永続的な平和と繁栄を実現する企業の使命を達成すべく努力すること

5)礼節謙譲の精神

└常に礼儀正しく謙虚であることを心がけ、環境を豊かにし、社会秩序を守ること

6)順応同化の精神

└常に変転する環境条件に合わせて思想と行動を律する

7)感謝報恩の精神

└受けた恵みや親切には永遠の感謝の気持ちを持ち続ける

アメリカでも多くの企業が経営理念を採用したが、従業員を結束させ、活力を引き出すことには失敗した。理想が不適切だ、というわけでなく、陳腐だという理由で受け入れられなかったのである。一方幸之助は、自身が使命と経営理念を深く信じて行動し、規範となることで示すリーダーシップを取った。だれの目にも映るその行動が、経営理念に掲げた目標や価値観に見合ってきたのだ。かれはまたその指針と合致した組織制度も作り上げた。その効果たるや絶大だった。一致団結した力が全社員にあるメッセージを放射し、徐々に信頼関係のなかで意思疎通が図られ、自己保身のための利己的な鎧を外させたのである。

3. 経営哲学―素直な心と謙虚な態度—

第二次世界大戦が幸之助に与えた教訓の一つは、傲慢が災いをもたらすということだった。惨憺たる時期を経た幸之助は、近視眼的なものの見方や狭量な精神こそが危機を招くという信念をますます強くしていた。企業の将来に影を落とす最大の要因は、市場ではないと彼は語っている。技術もまた主要な問題にはならない。最大の問題は会社経営であり、とりわけ経営陣の態度にある。挑戦することは、企業の革新をなす理念を強く信じている幹部をますます増やしていくだろうが、一方には受け身で人の言いなりになる人もいる。

最も重要なことは素直な心を持つことです。人は自分の知識だけで行動してはならない。『いつも目を開けている人は道に迷うことはないし、いつも他人の言うことに耳を傾けている人も迷わない』と言うではないですか。相手が誰であれ、いつも謙虚に何かを学べるのではないかと期待して人の話を聞いていれば、予想外の知識を得られるものです。松下の性向にとって重要なのは、素直な心と謙虚な態度以外の何物でもないということだ。

≪こんな人におすすめ≫

・経営者。

≪併せて読みたい書籍≫

・志を育てえる

・道をひらく



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