学習優位の経営―日本企業はなぜ内部から変われるのか
最終更新: 2020年9月1日

≪著者≫
名和 高司
≪問い≫
どのように本業で成長していくか
≪概要≫
供給コストを抜本的に下げつつも、新しい需要を喚起しなくてはならないのです。次世代の成長に向けて、今こそ顧客が本質的に求めている利用体験を実現する「スマート化」のために、既存の技術や資産を最適に組み合わせる「リーン化」をすることがカギとなります。自社の本質的な強み(DNA)を覚醒させ、磨き続けることです。
1. 「スマートリーン」型の事業モデル
そもそも顧客は、安くて価値が高いものを本質的に求め続けているのです。今求められるのは、市場の構造を所与のものとして捉えるポーターのものではなく、競争の次元そのものを常に革新していくようなダイナミックなモデルなのです。(CVPをずらす話)そのために三つの三つの資産に注目していきます。
1)生活に密着した顧客にとってまったく新しい体験価値の創造力
2)バリューチェーン全体の再編集・再統合をする構想力と実践力
3)内製・外製・合弁による知の新結合
2. 学習と脱学習の良循環をもたらす「メビウス」モデル
スマートリーンのポジションを築くためには、組織は「学習」と「脱学習」を繰り返す必要があります。学習する組織は4つのサイクルを高速で自律的に回しています。
1)組織接点→顧客に価値を伝え、体験してもらい、そのフィードバックをもらう機会
2)組織DNA→その組織がこれまでの成功体験や困難から獲得した組織文化や共通価値、行動規範の読み替え
3)顧客洞察→観察により顧客が本質的に求めている価値の再設定
4)事業現場→現場のオペレーション全てを視える化、再設計
3. 日本企業の方向性
日本企業では、本業において固定費を削ぎ落して成長分野への投資を加速するV字回復シナリオは風土に合いません。リストラが困難であるためです。そこで経営資源を本業における白地市場や本業周辺の拡業に大胆にシフトすることによって筋肉質化と成長を並行して推進し、動的な組織づくりをする必要があります。異質性の取り込みによる不安定な「ゆらぎ」をつくり、学習と実践機会を与えることで異質性を同化させる「つなぎ」を起こすのです。そのために
1)次世代リーダー人材の育成・トップ直轄チームの編成
2)組織DNAの再定義とお本業周辺の非連続な成長可能性の探索
3)可能性へリソースを投入し、実践・学習・改善のステップを踏む
≪こんな人におすすめ≫
・経営者
組織学習を通じてどう非連続な成長を遂げていくか、という話です。リストラという固定費削減を封じられた日本企業において、どのような成長のロードマップを描いていくか。本業をテコとしてイノベーションを起こしていく方法は非常に興味深かったです。
≪併せて読みたい書籍≫
・イノベーションの解
コワーキングスペースブシツは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。