呉市起業家支援プロジェクトで勝ち残る

最終更新: 8月31日




今年も呉市起業家支援プロジェクトがはじまります。

▼参考リンク▼

https://www.city.kure.lg.jp/soshiki/40/kigyoukashien.html



ビジネスプランということで、事業計画や事業説明を提出することになると思いますが、作成したことが無い人にとって、なかなかとっかかりにくいと思います。今回は呉市起業家支援プロジェクトに注目してどのような構成で思考すればよいかを提案していきます。

さて、起業家支援プロジェクトは主催が呉市、資金調達方法はふるさと納税型のクラウドファンディングです。女性や若者を始めとするチャレンジを支援する「くれワンダーランド構想」計画の一環として行われています。これらを鑑みたうえで、思考の枠組みは下記の通りになります。

1.いかに主催者の目的を満たすか(波及効果、連鎖反応)

2.いかに資金調達を達成するか(社会性、新規性)

3.いかにビジネスとしての原理原則を守るか(勝ちパターン、競争優位性)

ではそれぞれ説明してきます。

1.主催者の目的の視点(波及効果、連鎖反応)

主催者である呉市の掲げる「くれワンダーランド構想」のコンセプトは下記の通りです。

―呉市HP引用―

豪雨災害からの本当の意味での復興、まちの再生を進めるためには、復興を実現していく中で、以前にも増して、女性も若者も高齢者も、誰もが今後も住み続けたい、外からも訪れてみたいと思えるような、これまで以上に魅力的なまちづくりを行うことが必要となります。

くれワンダーランド構想は、「誰もが多様な夢に向かってチャレンジできるまち」、「創意工夫で時代を先取りする産業を創造できるまち」、「日本中、世界中から多くの人が集う交流都市・観光都市」を目指します。

要するに、外部へアピールできる、そして市内の人が定着したいと感じる魅力のあるまちづくりを行うことが目的です。このことから、「純粋にパン屋をやる」のような閉じられたマーケットで完結するビジネスはあまり適していないことが分かります。重要なことは、その事業を通じて何がどのように全体に波及・連鎖してき街の活性化、魅力向上に繋がるかです。

加えてこれが事業の副産物ではなく、主成果物であることも重要視されていると考えています。例えば「パンを通じて人との繋がりを創ります」という事業はパン屋の副産物に人的ネットワークができるイメージです。そうではなく「テスト出店できるパン屋を運用することで、出店を希望する人がチャレンジするリスク・障壁を下げます」、という文脈にすれば主目的が波及・連鎖になるので、主催者にとっての事業の魅力が上がります。

2.資金調達の視点(社会性、新規性)

今回の資金調達方法はクラウドファンディングです。すなわち、どれだけその事業に社会性や新規性があり共感・高揚感を訴求できるかが重要となります。

社会性とは介護、雇用維持、健康維持、学習支援、文化保護のような、社会生活に根差した課題を解決するものです。一般的に認知されている“弱者”や、顕在化している“課題”にアプローチする事業である必要があります。

新規性とは新しいテクノロジーや新しいビジネスモデルを活用したものです。既存のプレイヤーが抱えている難所を独自の模倣困難な技術やビジネスモデルで解決していくことが求められます。

先ほどのパン屋の事例で言うと、例えば“食品ロス0のパン屋”であったり、”アレルギーフリーなパン屋”のようなものが社会性に該当します。新規性で言うと例えば、高速で新規のパン屋希望者がテスト出店できるようなオペレーションエクセレンスを実現する、みたいなものです。

後述しますが、集客できるまでの初期段階で生き延びれるかが重要となりますので、資金調達可能性は限りなく高めておく事業特性である必要があります。

3.ビジネスとしての原理原則の視点(勝ちパターン、競争優位性)

最後はビジネスとしての原理原則ですが、ここは事業を行う上での前提です。実際に色んな方の事業計画をみることがありますが、ここが弱いことが多いです。

原理原則には2つのパターンがあります。それが死なないことと、売れることです。


1)死なないためのもの

これはすなわち、その事業の経済性です。コスト構造から確実に意識しなければならないポイントは何か、資金流出と集客のスピードのバランスが現実的か、ノックアウトファクター(その事業固有のもの+コロナ禍特有のもの)を回避しているかを考えます。

まずコスト構造ですが、これからやろうと思っている事業のコスト構成や商品特性を想定します。原価率が高い、在庫リスクが高い、家賃が高い等、どのコストやリスクが支配的かを考えます。その結果何を達成しなければならないかを考えます。下記に例を示します。

材料費:スケールメリット、特殊製法による差別化

減価償却費:規模の経済、稼働率

労務費:経験曲線、最低賃金のエリア選定

物流費:密度の経済、体積当たり収益性

広告費:SNSの活用

営業費:範囲の経済、SNSの活用

家賃:坪単価当たり収益性

在庫:在庫回転率、販路シェア

次に資金流出と集客のスピードです。新規性の高い事業程、長く生き残るための資金が必要です。できるだけ資金流出の原因となる固定費(リース料や家賃等)と初期費用(敷金礼金・改装費・消耗品費)は引き下げておくことが重要です。あらかじめ財務諸表を作成し、キャッシュアウトの想定をしておきましょう。

最後はノックアウトファクターの回避です。すなわち、これをやってしまうと事業が即死するような要素を徹底的に排除するということです。食品だと食中毒等がこれにあたります。基本的にお客さんの生命や財産を脅かすエラーがこれに該当します。また現状の特殊な事情として、コロナ対策も必要です。非接触オペレーション、密回避、換気・消毒力といった機能も現時点では世の中から求められると思います。

2)売れるためのもの

これはすなわち顧客のニーズを他社と異なった方法でどう実現するか、そしてどう営業・広報するかです。

まずお客さんのニーズトップ2を軸として設定し、ポジションマップを考えます。競合と異なる象限に自社を持っていけるようなニーズを持つお客さんをターゲットにするのが肝です。この時必要なのは、そこに競合プレイヤーがいない理由を考え、それを自社の事業が許容できるかを判断することです。


ちなみにプレイヤーが不在の理由は主に、顧客がいない/少ない、もしくは2つのニーズの両立が極めて難しいという2つのパターンが考えられます。前者の場合は顧客を開拓するか顧客のニーズを掘り起こしていく活動、もしくは超小規模で展開できる事業モデルを展開する必要があります。後者の場合は2つのニーズを両立する特殊なオペレーションを構築するアイデアや自分自身のリソースを有している必要があります。

続いて営業や広報の話ですがこれは数字を使って実現可能性を説明する必要があります。上述した“死なない”ために必要な顧客数、回転数、単価を実現できる中間目標数値を考えます。例えば顧客数が月100人必要な場合、自分の声がけで集まるのがn人、それ以外はSNSやポスティングで集客するのが一般的です。SNSの顧客転換率は1%程度、もちろん不慣れな人はもっと低いので0.1%程度でしょうか。そうすると、SNSで集客するにはインプレッションを(100-n)/0.1%~1%ということになり、最大でも1,000~10,000人に投稿を見てもらう必要があります。


私の経験上、これをフォロワー換算すると、5,000人~50,000人です。要するに、想定する顧客数をSNSで集客する場合はフォロワーをこれくらい集めるような打ち手を考えなくてはいけないということです。ポスティングの場合も転換率は0.1%程度と言われているので、SNSと同程度です。

ここから考えるべきは3つです。一つ目がフォロワーを増やす、二つ目がコンバージョンを増やす、三つ目が顧客数、回転数、単価が低くても成立するビジネスモデルにする、です。

フォロワーを増やすにはある程度根性と時間が必要です。毎日の投稿やお客さんとのやり取り、同業他社とのなれ合いが必要です。

コンバージョンを増やすには、サービスと投稿の魅力が必要です。低価格や高品質、という強みを持って、魅力的に映る画像や動画、文章を発信していきます。

顧客数、回転数、単価が低くても成立するビジネスモデルを実現するには、固定費を極限まで削減することです。恐らく主な固定費は設備、人件費、家賃です。これらを削って運用できる方法を考えていきます。

≪まとめ≫

いかがでしたでしょうか。

起業家支援プロジェクトで採択されるための最低限の論点を説明してみました。これくらいは考えておかないと、商売が博打になります。

この内容をもっと詳しく知りたい方向けに、ブシツでは事業計画作成支援も行っています。是非お気軽にご相談下さい。

※)

本記事はあくまでブシツ代表・大塩の見解です。

本論点を網羅したからといってビジネスプランの採択を担保するものではありません。

120回の閲覧

©2019 by 広島県呉市初のコワーキングスペース~ブシツ~。