ファイナンシャル・マネジメント 改訂3版



≪タイトル≫

ファイナンシャル・マネジメント 改訂3版




















≪著者≫

ロバート・C・ヒギンズ

≪問い≫

ファイナンスをいかに日常業務で活用するか

≪概要≫

アカウンティングはビジネスにおけるスコアボードである。それは企業の様々な活動を客観的な数値に変換し、企業の業績、問題点、将来の見通しについての情報を提供する。ファイナンスでは、これらの会計情報の解釈を通じて、将来の行動計画を立てることになる。アカウンティングとファイナンスを理解していないマネジャーは、不要なハンディキャップを負いながら仕事をしなければならない。

1. 財務評価

起業の財務実績を図る指標として、ROEが広く用いられている。ROEとは、株主の資本を活用してどの程度効率的に利益を出したか、という株主市場主義の中でできた指標である。すなわち、株主資本は最小に、借入を最大に行い資産を大量に保有すると、ROEは大きく上昇するのだ。

一方でこの状況は問題でもある。理由は、この借入によるリスクがROEでは測れないことだ。この問題に対してはROICという指標を活用することで見ることができる。

また二つ目の問題は短期的な目線でしかこの指標では測れないことだ。例えば設備投資をした場合、減価償却費や利息が利益から惹かれるため、当期純利益率が低下し短期的にROEが下がってしまう。しかし中長期的な成長のための投資であれば、本来は株主にとって良いことではないか。

最後の問題は投資家にとっての価値が正しくあらわされていないことである。ROEを計算する際の株主資本は簿価であり、時価ではない。そのためROEが高いからといって、現在の時価総額が高いとは言えない。そのため、PERの指標を使って測定する。

これらのROEの問題点を解決するための指標が、近年注目されているEVAである。

2. 計画策定

財務予測とは、革新的なアイデアや戦略を具体的なアクションプランに変換する技法の集合体であるというのが適切な見方である。財務予測の基本は対売上高比率である。そのため、成長率や季節変動、不確実性について深く吟味しなくてはならない。

売上高の成長率の制限は、B/Sの成長率に依存する。そして、資本構成が一定とすると、B/Sの成長率は株主資本の成長率に依存する。(借り入れは容易に増やせるが、株主資本はそう簡単にいかない)。よって株主資本の増加率が売上髙の増加率の制限である。持続可能な成長率をgとすると、

g=株主資本変化額/期初株主資本額=利益内部留保率×利益/期初株主資本額=利益内部留保率×ROE

と表現される。

3. 資金調達

資金調達手段の選定の際に、キャッシュフロー、ひいては企業価値に影響を及ぼす5つの要素の相対的な重要性をどうみるかである。

1)未使用の借入能力を残した保守的なレバレッジ・レシオを維持する

2)成長を内部留保で賄えるように、控えめな配当政策を採用する

3)急な資金需要の暫定的なクッションとして、現金・投資有価証券・未使用借入能力を使用する

4)財務の柔軟性を損なわない範囲でのデット・ファイナンスを行う

5)成長を抑制するくらいなら株式を発行すべきであり、成長の抑制は最後の手段である

ちなみに借り入れが増えると資本コストは増加する。理由は事業リスクがあまり変わらないにもかかわらず、リスクの低い投資コストが加わるため、相対的に株主資本コストが上がるためである。感覚的には、銀行というPL上優先される投資家が入ってきたために、リターンを貰える確率や額が減るからと理解すると分かりやすい。

4. 投資評価

正しい投資機会を評価するためには、金銭の時間的価値を考慮しなくてはならない。DCF法とは、事業をあたかも大きな資本的支出の塊のようにみることで、企業のフリーキャッシュフローを加重平均資本コストで割引、現在価値を算定する技法である。DCF法は現代ファイナンスのバックボーンと言っても過言ではない。

一方で、いくつか落とし穴もある。

1)企業と株主視点がある(事業の経済的メリットに関係なく、レバレッジに応じて株主資本コストが変動する)

2)実質か名目でキャッシュフローと割引率の計算を揃える

3)経営の柔軟性(リアル・オプション)は考慮されない

4)投資のリスクは大体将来的に同じではない(将来の方がリスクが下がるはずだ)

大切なことは、DCF法だけでなくAPV法やリアル・オプション、類似企業比較法等多面的に投資機会の評価をしていくことだ。

≪こんな人におすすめ≫

・ファイナンスについて詳しく知りたい人

≪併せて読みたい書籍≫

・バリュエーションの教科書


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