シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成






















≪著者≫

安宅和人

≪問い≫

どのようにすれば今の子供たちやその子供たち、また50年後、そして100年後に対してよりまともな未来を残すことができるのか

≪概要≫

非連続的な変化に富む局面では、オールドエコノミーではなくデータやAIを駆使し、「未来を変えてる感」が企業価値となり、それをテコに投資し、最終的に付加価値・利益を生むという逆流が起きている。「人がいいなと思うであろうことを先んじて感じ、それを自分なりに表現できる力」もしくは少なくともそれを「知覚できる力」が必要なのだ。

1. 日本に残された可能性

これまでの産業革命を振り返ると、3つのフェーズから構成されていることがわかる。

第一フェーズ:新しい技術が出てくる

第二フェーズ:新しい技術に実用性が付与されたモノが生まれる

第三フェーズ:モノや産業がつながり、複雑な生態系が生まれる

そして日本の歴史上、一つめのフェーズをやったことがなく、第二・第三フェーズで勝ってきた国であることがわかる。そして今、データ×AIは第一フェーズを終えようとしている。ここをどう捉えていくかが日本にとっては勝負所となる。

AI的なソリューションを生み出そうとすると、まさに出口(製品やサービス)側特有のデータが必要になる。そして日本はほぼ全てのオールドエコノミー(出口)をフルセットで、世界レベルで持つ数少ない国の一つだ。これほど出口系を押さえている国は少ない。このことは、日本にとってかなりのチャンスである。

このチャンスをものにするために日本が意識すべきポイントが10個ある。

1)機械化に留まらず夢を実現する手段としてAIとデータを活用としようとする

2)高等教育を受けた全ての人が理数・データ素養を基礎素養として使える

3)全ての業界でデータ×AI活用の恩恵を受けられるようにする

4)様々なAIをマッシュアップ的に使え、かつコアエンジンには磨きをかける

5)ウェブ、リアル問わずすぐデータ化、出力、活用できる

6)リテラシー高い市民が大半、かつプライバシー課題が整理され個人のデータが提供される

7)低廉に大量データ処理ができるAI技術を国内で内製する

8)AIネイティブ層が革新、ミドル・シニア層がリソース提供と、お互いを補完しあう

9)理文・専門関わらず、理数・データ×AI、デザイン素養をベースに持つ境界・応用型の人材育成モデルになる

10) 社会全体としてここにリソースを投下する

このような社会になるにあたり、企業のレベルも5段階で評価できる。

レベル1:基本業務のシステム運用、データマネジメントのみ

レベル2:外部専門家によりAI×データの利活用着手も、機械化が大半

レベル3:機械化には目途がつき、成長と事業刷新のためにAI×データの利活用へリソースを再配分

レベル4:AI×データにより、コア事業でこれまで不可能だった夢や課題解決を実現

レベル5:全ての事業・機能がデータ×AI化し、業界そのものの本質的な刷新を常時仕掛けている

ここまで大きいことを述べてきたが、これから伸ばしていくために企業ができること、それは3つの埋もれている才能や情熱を引き出すことだ。

1)最低賃金で働く若者

2)家事・育児で多忙な女性

3)能力と経験あるシニア層

2. これから求められるスキル

今の時代において明らかに最も力強いのは0to1「創造」だ。妄想を形に変える力を持つコミュニティ、人、企業が、もっとも影響力が強い。こういう人は、どんな話題でもそれぞれ自分が頼れるすごい人を知っているため、自分の夢を描き複数の領域をつないで形にできる。そして人に頼れる人、というのは「チャーミング」である必要がある。ただしここでいう夢、やりたいこと、というのはあくまで「自分らしくではあるが、他人と自分を異質化できるもの」であるべきだ。ゲームが好きだからやる、というのはただの中毒に過ぎない。

実際にデータ×AIを利活用するためには、ビジネス力、エンジニア力、サイエンス力の3つの力が求められる。

1)ビジネス力(目的・課題設定)

└そもそもどんな課題をどの局面で解決すべきか

2)エンジニア力(アプローチ設計)

└どう計算機環境をうまく使い実装・運用するか

3)サイエンス力(統計、数学的分析)

└何の解析をしようとしているのか、そのデータにどんな意味があるのか

実際には、AIは物事の意味や理解ができず、意志もない。現状の見立てや常識的な判断、過去事例が少ない中での評価、ひらめき、文脈理解、正しい問い立てなどはできない。我々が普段行っているような課題を複合的に解決する本物の課題解決・知的生産はできない。だからこそこのデータ×AIで導かれた異常値に意味を見つけ新たな気付きとして知覚していく力も人間としてその先には必要となるだろう。

※)気付きとは、単に新しく知ったことではなく、自分の中にある何らかの知識や理解が何かとつながること

このような状況を作るため、人材の層を3種類に分けて育成していく。

1)リテラシー層

└データ×AIのリテラシーを持ち、未来に向けたマインドを持っている

2)専門家層

└データ×AIの専門家、もしくはそれを多領域へ活用する専門家

3)リーダー層

└これらのあらゆる活動の中心となる

3. 未来に投資する

世界的に才能をめぐる争奪戦が進む中、日本の大学や国研は全く国際的に競争力のない研究開発環境になりつつある。まっとうな原資を流し込まないために、我々の大学システムは内面から崩壊しつつあることを直視しなければならない。産学連携で企業から資金を調達する、みたいな単純な話ではない。正しい産学連携のエコシステムが必要だ。

1)成功した卒業生が基金へ資金を注入する、寄付をする

2)基金と国から大学への研究機関運営委託を払う

3)これらの資金を元手に資金運用しさらに大きく増やす

4)増えた資金も含めて競争力のある研究開発環境を生み出す

5)その卒業生が寄付・投資・教育支援を行う

という循環を生み出す必要があるのだ。

では国からの財源がどこからくるかというと、それは全体的なコストカット、コストの合理化と医療費や年金といったシニアや過去に支払われている財源を未来の可能性にリソース再配分することが重要である。とはいえそこまで大きな額ではない。上記引退層に支払われている90兆円のうち、2200億円でよいのだ。

≪こんな人におすすめ≫

・学生

・若手のビジネスマン

・親

少し長いが、流し読みでも良いので最後まで読んでみてほしい。理想論、と思われるかもしれないが、このまま進むと地球船日本号が良くなることはない、というのもまた事実だ。そうなったときに、社会がどうなればよいか、また社会が変わらなくても自分はどう変わればよいかを考えるきっかけになる本だと思う。

≪併せて読みたい書籍≫

・ライフシフト

・ワークシフト


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