サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福





















≪著者≫

ユヴァル・ノア・ハラリ

≪問い≫

なぜホモサピエンスだけが繁栄したのか

≪概要≫

我々が当たり前のように信じている国家や国民、企業や法律、さらには人権や平等といった考えまでもが虚構であり、虚構こそが見知らぬ人同士が協力することを可能にしたのだ。

1. 虚構が協力を可能にした

虚構のおかげで集団で物事を想像することができるようになった。共通の神話は大勢で柔軟に協力するという空前の応力をサピエンスに与える。アリやミツバチも大勢で一緒に働けるが、彼らのやり方は融通が利かず、近親者としかうまくいかない。

このような形で組織を形成し、維持できる集団の大きさには明確な限界がある。典型的なチンパンジーの群れは、およそ20~50頭から成る。群れの個体が増えるにつれ、社会秩序が不安定になり、いずれ不和が生じて、一部の個体が新しい群れを形成する。認知革命の結果、噂話の助けを借りることができてなお、集団の「自然な」大きさの上限がおよそ150人であることが分かっている。

ホモサピエンスは、この重大な限界を共通の神話を信じる虚構によって乗り越えた。

2. 想像上のヒエラルキー

実際には、「自然な」と「不自然な」という私たちの概念は、生物学からではなくキリスト教神学に由来する。「自然な」という言葉の神学的意味は、「自然を創造した神の意図に一致した」ということだ。キリスト教の神学者は、手足や器官のそれぞれが特定の目的を果たすことを意図して、神が人間の身体を作ったと主張する。

男らしさや女らしさを定義する法律や規範、権利、義務の大半は、生物学的な現実ではなく人間の想像を反映している。

3. 最強の征服者、貨幣

都市や王国が台頭し、輸送インフラが充実すると、専門化の機会が生まれた。だが専門化からは一つの問題が生じた。専門家同士の品物の交換を、どう管理すればいいのか?物々交換は限られた製品を交換するときにだけ効果的で、複雑な経済の基盤を成しえない。物々交換経済では何十という商品の相対的な価格を、毎日改めて知る必要がある。

専門の栽培家や製造業者から産物や製品を集め、必要とする人に分配する中央物々交換制度を確立することでこの問題を解決しようとした社会がある。「誰もがその能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」という理想は、「誰もがさぼれるだけさぼり、もらえるだけもらう」という現実を招いた。

そこでほとんどの社会ではもっと手軽な方法、“貨幣”を創り出したのだ。

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