コワーキングスペースを4か月運用してみて



今回は、実際にコワーキングスペースを4か月運用してみた気付きや学び、反省点を文字にしていきます。テーマは、開業当初の計画と実際の運営において、1)違っていた点/考えてもなかった点2)合っていた点、という切り口で書いていきたいと思います。


まずはこちらが実際に呉市起業家支援プロジェクトで審査員の方に配布したプレゼン資料です。なんとなく、どういうことがしたくて、どういう想定だったのかがわかっていただけるのではないでしょうか。


▼呉市起業家支援プロジェクト最終プレゼン資料▼

起業家支援プロジェクトプレゼン資料(印刷用)
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では早速本題に入りたいと思います。


1)違っていた点/考えてもなかった点

まず初めに、ポスティングという広報手段が意外と有効だということです。開業当初はSNSや口コミ、メディア露出での流入を想定していましたが、これが全く上手くいきませんでした。確かにやり方の問題もあったと思いますが…(汗)

そこで思い付きで始めたポスティング、コンバージョン率が0.1%程度と言われている中で、なんと0.6%というかなり良い結果となりました。広報手段としてポスティングを全く考えていませんでしたが、地場のサービスとしてポスティングは有効な手段だと知りました。

そして最近では新聞の折り込みチラシの方がよさそうだ、ということを考えています。理由は「ポスティング禁止」のマンションがあまりにも多いためです。次回は新聞折り込みの数値も追っていきたいと思います。

また次の打ち手を考えるのに必要な時間が、既存事業から新規事業を考えるのに比べて数倍必要ということです。よく言われていますが1→100と0→1では大きく考え方が違うことを実感しました。

知見やブランド、人、カネのようなリソースが色々無い段階で“次にどんなことをするか”と考える際に、もちろん知識不足もありますが、思考の自由度が高すぎるのです。例えば広報活動一つとっても、ブランドや認知がすでにある場合はそれをテコにどう情報発信していくか考えると思いますが、開業したては情報発信の方向性が定まっていません。方向性を自由に決めることができます。

まず動いてみようにも、何を検証するかを考えておかなくてはなりません。“何を検証するか”ということも自由に決めることができるので、これも決定するのに時間がかかります。このように、思考の自由度が高すぎることが逆に制約になります。これから開業される方はその事業に割ける時間的余裕がどれくらいあるかを見ておくのが大切です。時間が本気で足りません。

さらに、思っている以上にキャッシュエンジンが重要だということです。借入を考えていない方ならなおさらです。

開業する際の予測財務パフォーマンスは、もちろん複数のシナリオで想定すると思いますが、保守的なパターンでも利益が出る、もしくは数年は事業継続できるような建付けで設計すると思います。

しかし実際事業を始めると、“あれしたい”、“これしたら良いかも!”というアイデアがどんどん思い浮かびます。とはいえすでに最初の保守シナリオ通りに資金調達・運用しているので、成否が不明な追加投資を結構躊躇します。この時にキャッシュエンジンがあると、心の余裕と投資の意思決定の幅が変わります。

私の場合は物販と経営支援サービスというキャッシュエンジンがたまたまあったので助かりました。追加備品の購入やシステムの導入が割とキャッシュの心配なくてもできています。しかし、上述したポスティングの外注はできませんでした。全て外注すると30~50万円程度かかりますので、自分で配布するという判断をしました。仮に毎月100万円程度のキャッシュエンジンがあれば、ポスティングは外注して自分はほかの業務に時間を使っていたと思います。

最後に利用者さんの層が実際の想定と違いました。当初の計画は、その立地からもわかる通り中通にある会社のビジネスパーソンが仕事帰りに勉強等のために利用することを想定していました。しかし実際には、市外から来られた方、特に長期的に滞在される方のドロップイン需要がかなり多いことが分かりました。またコロナの影響で学生さんのお問合せも多くなりました。オンライン授業もそうですが、これまで使っていた場所がコロナで使用不可となり、勉強する場所を代わりに探している、ということです。

月額利用からドロップインへ、社会人から学生さんへと利用者層やシーンが移るにつれて、様々な課題も出てきています。一つ目がスマートロックによる無人運営システムの崩壊、二つ目が決済システムの多様化です。

ドロップインは無人運営と非常に相性が悪いと感じています。月額利用に絞っていた理由は、スマートロックのパスワードをユーザーごとに固定化し、パスの都度発行オペレーションを無くすためです。一方ドロップインの場合は予約→スマートロックパスワード発行→通知というオペレーションが必要になります。これを全自動にするにはそこそこ高額な月額のシステム利用料がかかるため、損益分岐点がかなり上がります。集客に時間がかかることから、固定費を削減し長く生き残るという原理原則から外れます。かといって、これを手動ではやっていては手間もかかりますしミスも起きます。そのため、スマートロックによる施錠を無くし、モバイル監視カメラでのセキュリティ担保へと切り替えました。

決済システムの多様化も求められています。まず学生さんはカード決済ができないため、現金決済やコンビニ支払いが主な手段となります。この決済手段を準備する必要が出てきました。また信用度の低いブシツに対し、カード決済を選択するのに抵抗感がある、ということも実は起きたりしていて、早急な決済手段の多様化を実現する必要があります。実際システムはセキュリティがきちんとしたものを使っているのでご安心ください。

このような当初の想定と違った点や考えてもいなかった点がいくつも出てきて、その都度反省し、打ち手を打ち、前に進んでいます。では当初の想定と合っていた点は何があるのでしょうか。

2)合っていた点

まず集客のしにくさは想定通りでした。当初の売上計画の基となった客数予想通りに現在推移しています。かなり保守的に考えた、ということもありますが、企業SNS運用で、大まかに顧客がお金を出す割合をなんとなく分かっていたことが要因だと思います。そのサービスにその価格を出す人がどれくらいいそうか、ということは、違う業界の経験からでも良いので肌感で感じておくことが大切だと感じました。

また初期費用と固定費を抑え、長寿化させるという当初の目論見は合っていたと思います。何が起きるか分からない、ということと、サービス自体の認知が低い状態での初期ニーズはそこまで作り込まれたサービスではない、という仮説で備品も設備も施工も各種固定費も抑え、かなり倹約するプランを立て実行しました。結果としてはコロナが起き、開業4カ月のうち2カ月は休業というとんでもない状況になりましたが、当初の設計思想のおかげでキャッシュ的には余裕のある状態です。徐々に利用者数も増加していますので、このまま倹約を続けていきます。

いかがでしたでしょうか。このように当初の想定とは全く違うこと、考えもしていなかったことががんがん起こっています。もしもっと家賃の高い物件を借り、人員も抱え、内装工事も完璧に完了していたら、今頃大変なことになっていたと思います。

このことから3つのことを学びました。


1.出来る限り倹約し、方針が決まるまで大きな投資はしない

2.想定は外れる前提とし、商売に余白を残す

3.キャッシュエンジンと時間は余分に持っておく


少しでもこれから起業家支援プロジェクトにチャレンジされる方の参考になればと思います。


また次回は半年や1年運営して分かったことを書いていきます!

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